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『ニシザキサンゴ』とその周辺のサンゴ群落分布調査
サンゴ分布調査範囲図
サンゴ食巻貝駆除 作業マニュアル

 

 

 

 

 

サンゴ食巻貝駆除 作業マニュアル

 

 

 

 

 

 

紀州灘環境保全の会


目次

 

はじめに

3

1.サンゴ食巻貝の駆除について

4

(1)貝駆除に必要な道具

4

(2)貝駆除のポイント

4

(3)駆除するサンゴ食巻貝・卵の特徴

5

(4)食害を受けているサンゴの特徴

6

2.集計について

7

(1)集計に必要な道具

7

(2)集計の方法

7

 

 

参考資料

 

サンゴ食巻貝の写真

8

食害を受けているサンゴの写真

9

代表的なサンゴの写真

10

巻き貝の各部の名称とサンゴ食巻貝の見分け方

11

集計風景

11

サンゴ食巻貝駆除データ表(記入書式の例)

12

サンゴ食巻貝駆除データ表

13

『ニシザキサンゴ』海底マップ

14

 

 

協力者、引用文献

15


はじめに

 

 サンゴ域は、「海の熱帯林」とよばれるほど豊かな生物多様性を持っており、生物多様性保全に重要な役割を果たしています。近年わが国におけるサンゴ礁は、白化現象、オニヒトデやサンゴ食巻貝の大発生、開発等による水質の悪化など様々な危機にさらされています。和歌山沿岸(紀州灘)に生息するサンゴ群落も例外ではありません。

 サンゴ礁を有する沖縄やサンゴ群落最北端として有名な串本などでは、様々な保全活動の取り組みがなされてきていますが、紀州灘のうち串本を除く高緯度に生息しているサンゴ群落に関しては、何ら取り組みがなされていません。

 紀州灘環境保全の会では、特に『ニシザキサンゴ』(ダイビングポイント名、田辺・みなべ沖)に生息するサンゴ群落に注目しています。この『ニシザキサンゴ』とその周辺海域は、サンゴが密集して生息しており、ダイバーを楽しませる重要なポイントとなっています。ここでも、他のサンゴ海域同様、サンゴ食巻貝やオニヒトデの発生などの問題を抱えています。しかし、サンゴ群落の分布や被害の実態の把握はされておらず、分布調査、被害調査、駆除対策など具体的、効果的な対策が求められています。

 サンゴ域を保全管理するためには、モニタリングを行い、これらの異変を素早く詳細に把握し、対策を講じる必要がありますが、広範なサンゴ域の現況をくまなく把握する調査体制を構築することは実際には困難です。一方、サンゴ域の各地では、ほぼ通年一般ダイバーが潜水を楽しんでおり、彼らの多くは海洋生物の観察をその目的としています。もしこれらのダイバーからサンゴ域の異変に関する情報を得ることができれば、サンゴ域のモニタリングに大いに貢献すると思われます。
 
 我々は、まず『ニシザキサンゴ』とその周辺において、サンゴ群落の分布とサンゴ食巻貝による食害の実態を調査・把握し、保全活動へ生かしていきたいと考えます。また、貝駆除活動を通し環境問題に関心の高いキーパーソンを育成し、継続的にサンゴ群落をモニタリングできる仕組みやネットワークを構築していきたいと考えます。

 

 


1.サンゴ食巻貝の駆除について

 

サンゴ食巻貝増加の原因が、地球温暖化によるものなのか、周期的な大発生といった自然現象であるのか、一時的な黒潮の接近による平均水温の上昇によるものなのか、明確ではありません。しかし現在の状況は、見過ごすには大きすぎる変化であると考えています。これら巻貝は、以前より紀伊半島沿岸に生息していたことから、巻貝が絶滅するまで駆除することは考えていません。現在のところ、サンゴに多大な影響を与えず生息していた頃の生息数に落ち着くまで、貝駆除を継続して実施していくことが必要であると考えています。

しかしながら、巻貝の増加が一時的なものではなく、周辺環境の恒常的な変化から増加の一途をたどる可能性も考えられます。その場合は、守るべきサンゴ群落を決めて、徹底的に貝駆除を実施していく必要性があると考えています。

いずれにせよ、サンゴ群落を守っていくために、貝駆除を継続して実施していくことのできるキーパーソンやボランティアダイバーの存在が不可欠となってきています。

 

(1)貝駆除に必要な道具

    ダイビング器材一式

    巻き貝駆除用の袋(洗濯ネットなどで目の細かいもの;卵が流れ出さないため)

    かなづち ・ピンセット

    火ばさみ(バーベキューなどに使う30cm位のピンセット様のもの) 

 

(2)貝駆除のポイント

@    食害(サンゴが食べられ骨格が白く見えている白化部分)を探します

A    食害の周辺(健全なサンゴを含む範囲)のサンゴの上下(表裏)ともよく探します。みつけたら駆除し、必要であればサンゴを割って駆除します

B    白化部位は、1〜2週間で表面に藻が生えてきます。その下に巻貝が隠れていることも多く見受けられますので、必要であればサンゴを割って探し、駆除します

C    巻貝が密集している場所は、サンゴに卵が産みつけられていることが多いので、卵の有無も確認して、サンゴのかけらごと駆除します。(注)卵を海中にばらまかないように駆除して下さい

D    巻貝の殻にすむヤドカリは駆除しません。

殻の口からヤドカリのハサミや目が出ていることで簡単に区別できます

E    巻貝の表面には、ムセツサンゴ藻が付着していて、周囲の環境と非常によく似た色をしているので見分けにくいですが、食害の周囲を丹念に探すことで見つけることができます

F    サンゴのすき間や奥の方など駆除しにくい場所に巻貝が見られることが多く、そのような場合は、サンゴを割ってでも駆除することが有効です

 

 

(3)駆除するサンゴ食巻貝・卵の特徴

ミドリイシ科などの造礁サンゴを捕食する巻貝が対象です。

以下には、紀伊半島沿岸によく見られるサンゴ食巻貝をリストアップしましたが、リストに含まれていない巻貝が駆除される可能性もあります。リストにない巻貝は、そのつど調べる必要がありますが、駆除される数量が多い代表的な巻貝は、現在のところ、ヒメシロレイシダマシ、シロレイシダマシです。

8ページ『サンゴ食巻貝の写真』、9ページ『食害を受けているサンゴの写真』、11ページ『巻貝の各部の名称とサンゴ食巻貝の見分け方』を参照ください。

 

    ヒメシロレイシダマシ

O        伊豆半島以南、熱帯インド−太平洋域に分布

O        水深20m以浅のサンゴ礁に生息

O        ミドリイシなどの造礁サンゴを捕食する

O        殻高約2.3cm、殻は厚質、縦肋は10〜12列で螺肋とともに細かい

O        殻口内はつねに白色、結節は低い

    シロレイシダマシ

O        房総半島以南、熱帯インド−太平洋域に分布

O        水深20m以浅に生息

O        ミドリイシなどの造礁サンゴを捕食する

O        殻高約3cm、縦肋は8列、螺肋は4列

O        インド洋産の個体は殻口内が淡黄色

    クチベニレイシダマシ

O        紀伊半島以南、熱帯インド−太平洋域に分布

O        水深20m以浅のサンゴ礁に生息

O        ミドリイシなどの造礁サンゴを捕食する

O        殻高約2.5cm、縦肋は9〜13列で螺肋はやや細かい

O        殻口内は赤色、紫色、黄色、白色など

    トゲレイシダマシ

O        伊豆諸島以南、熱帯インド−太平洋域に分布

O        潮間帯下部の岩礁から水深約20mに生息

O        殻高約3cm、殻は厚質、縦肋上でとげを生じる

O        体層に強い3列の螺肋をめぐらす

O        殻口内は細く紫色

 


    ヒラセトヨツガイ

O        伊豆半島からオーストラリアまでの熱帯西太平洋に分布

O        水深20m以浅に生息

O        ミドリイシやキクメイシなどのイシサンゴ類に付着

O        殻高約4cm、殻は重厚で堅固、縦肋が太い

O        周縁は角張る

O        殻口内は紫紅色

    カブトサンゴヤドリ

O        伊豆半島以南、熱帯インド−太平洋域に分布

O        水深20m以浅に生息

O        ミドリイシ科のイシサンゴ類に付着

O        殻高約3cm、殻はやや薄質、縦肋はうね状で螺肋は細かい

O        周縁は大きくはりだす

O        殻口内は白色

    サンゴ食巻貝の卵

O        サンゴの裏側(下側の見えにくいところ)に産みつける

O        大きさ約2mm、黄色のトウモロコシ状

 

(4)食害を受けているサンゴの特徴

ミドリイシ科などの造礁サンゴが食害を受けています。

以下には、紀伊半島沿岸で、よく食害が見られるサンゴをリストアップしましたが、リストに含まれていないサンゴが食害を受けている可能性もあります。

10ページ『代表的なサンゴの写真』を参照ください。

 

    エンタクミドリイシ

O        枝径 4〜10mm

O        生息場所 礁池内の潮通しのよい水道部やリーフ外縁、水深2〜20m

O        特徴 放射状に広がる主枝はよく癒合し、網目状〜円板状となる。円板状の群体では上面に立つ末端枝は凹凸の多い円錐形のものが主となる。

    オヤユビミドリイシ

O        枝径 15〜20mm

O        生息場所 リーフ内縁、水道部、水深0〜5m

O        特徴 枝は円錐状で、波の荒いところに生息するものは枝が短く、浪当たりの少ないところでは枝が長くなる。群体は、典型的な被覆型〜円板状、テーブル状となる。突起上の側サンゴ体が下に行くほど突出している。

 


    クシハタミドリイシ

O        枝径 3〜5mm

O        生息場所 礁池内からリーフ外縁、水深1〜10m

O        特徴 波の穏やかなところでは基底が細い枝が網目状にからまった繊細な群体となり、リーフ外縁などテーブル状群落を作る。テーブル状の群体では状面に立つ末端枝は長さ1cmほどの円筒状のものが林立する。

 

 

2.集計について

(1)集計に必要な道具

    はかり

    ノギス

    トレー(巻貝の分別用)

    サンゴ食巻貝駆除データ表 (13ページ参照)

    えんぴつ

 

(2)集計の方法

12ページのサンゴ食巻貝駆除データ表 記入書式例を参考にして、13ページのサンゴ食巻貝駆除データ表をコピーして記録して下さい。

11ページ『集計風景』も参考にして下さい。

 

手順

@    サンゴ食巻貝駆除データ表を用意します

A    巻き貝を種類別に分けます。2cm以下の貝は、未成貝として別に記録します

B    種類、未成貝ごとの重量(g)、数量(個)を記録します

C    種類、未成貝ごとに殻高cm(最大、最小)を記録します

D    その他、必要項目をサンゴ食巻貝駆除データ表に記入します


サンゴ食巻貝の写真

1.ヒメシロレイシダマシ

2.シロレイシダマシ

3.クチベニレイシダマシ

4.ヒラセトヨツガイ

5.カブトサンゴヤドリ

6.トゲレイシ

日本近海産貝類図鑑より引用



食害を受けているサンゴの写真

1.食害を受けているサンゴと巻貝

白化したサンゴの下に巻貝が大量に隠れています。食害を受けたサンゴを割り、できるだけ駆除してください。卵も見つかる可能性が大きいです。

2.食害を受けているサンゴと巻貝

白化後、サンゴは藻に1〜2週間で覆われます。その周辺や下に大量に巻貝が隠れていることが多いので、サンゴを割り探してください。

3.サンゴに産みつけられた卵

写真の卵は茶色に変色しています。

実物は、大きさは1〜2mmで黄色のトウモロコシ状のもの。

4.オニヒトデによる食害

オニヒトデも発見したら駆除してください。

 


代表的なサンゴの写真

1.エンタクミドリイシ(網目状)

2.エンタクミドリイシ(円板状)

3.クシハダミドリイシ

4.オヤユビミドリイシ

沖縄海中生物図鑑より引用


巻き貝の各部の名称とサンゴ食巻貝の見分け方

サンゴ食巻貝の見分け方

 

殻口に色のあるものは見分けやすいです。

クチベニレイシダマシ(赤色、紫色、黄色、白色)、トゲレイシダマシ(紫色)、ヒラセトヨツガイ(紫紅色)

 

カブトサンゴヤドリは、殻口は白色ですが、他の巻貝と形が異なるので見分けやすいです。

 

殻口が白色のヒメシロレイシダマシ、シロレイシダマシが見分けにくいです。

ヒメシロは、縦肋は10〜12列で螺肋とともに細かい。

シロは、縦肋は8列、螺肋は4列。

あくまで見た目のイメージですが、ヒメシロのほうがシロより殻高が小さく、表面がスムースな感じで、凸凹が少ない感じがします。

貝殻の採集と観察より引用

 

集計風景







『ニシザキサンゴ』海底マップ

 

協力者

本マニュアルの作成及びサンゴ群落分布調査等において御崎洋氏(財団法人串本海中公園センター)より、様々な情報をご提供頂きました。 又、調査実施にあたって佐藤崇範氏(東京都立大学)、森浩伸氏にご協力を頂き感謝致します。 『ニシザキサンゴ』の断面図は佐藤崇範氏が作成されたものを引用させて頂きました。 現地情報と操船につきましては酒井崇司氏(ダイビングサービス サンマリン)にご協力頂きました。お忙しい中ありがとうございました。

引用文献

●環境省自然環境局 「自然環境保全基礎調査」

●財団法人串本海中公園センター 環境庁委託業務報告書

 「海中公園地区等におけるシロレイシガイダマシ類によるサンゴ群集被害実態緊急調査報告書」 1991年3月

奥谷喬司編著 「日本近海産貝類図鑑」 東海大学出版会

財団法人串本海中公園センター「沖縄海中生物図鑑」新星図鑑シリーズ第9巻・10巻

●海上保安庁 海図 「田辺港」平成15年1月16日 刊行

●財団法人 日本地図センター 「空中写真(カラー)田辺・南部(沖ノ島灯台付近)」

●馬場勝良著 「貝殻の採集と観察」 さ・え・ら書房

作成者: 中家勝之(紀州灘環境保全の会)

                         中村美由紀(紀州灘環境保全の会)

2004年9月 初版

2004年11月 改訂

2005年1月 改訂




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